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   それでは、引き続きよいネットサーフィンを。クローバー


企画最終夜:「若造と少女の二人暮し作品」への考察

 さて、これまでは「若造と少女の2人暮らし作品」を、拙作を含めて4品、ご紹介してきました。
 今晩は、このような設定を様々な視点から考えてみたいと思います。広く共通する点はどのようなものなのか、そしてそれにはどんな意味があるのか。本

 もちろんどれもが個性豊かなお話ですので、全てには当てはまらない所もちょくちょく出てくるかと思います。 「緩やかに輪郭を取るならこんな感じかな」と、広い心でお読み戴けると幸いです。血液型性格診断みたいなモンですわ。

 内心、このような若輩が名だたる名作を分析なんてビクビクものなのですが。汗
 これからこうした作品を読まれる上での、或いは書き手さんにとっての 1つの踏み台になれればな、と思います。すいません

(なお、このページに最初に行き着かれた方は、企画1~3夜目までに登場した『うさぎドロップ』『正しい蝶の育て方』『Laissez-faire(レッセ・フェール)』『+みつばちのフキゲン。+』をご一読戴くとよりわかりやすいかと存じます。こちらをクリックすると一気に表示できます。)



*   *   *


□ 人物像における共通点

○子どもサイド
・年齢は幼児~前思春期
・性別の殆どが女の子
・世間擦れしていない
・過去はあまり幸せではなかった
・見かけはかなり良。キュートと言うよりは、壊れそうな美しさ
・体格はやや痩せぎみ。腕が細いとか色が白いとかの美少女オプション満載
・性格はけなげ。誰かを強く深く思うことができる反面、それに縛られることも
・一般の子どもに比べて、口数が少なめ
・精神年齢は高め? その年齢よりも多くのことを考える。 実年齢の22倍の子もいましたし・・・・・・
・そう遠くない過去に誰かを喪っていて、それが二人暮しのきっかけにつながっている。
・名前が短い。語感もシンプル。(例:りん、エマ、ちょう、ビー)


 だいたいこんな感じでしょうか。若造サイドよりは、設定に幅があるような気がします。

 名前が短いのは呼びやすさ重視?
 単に偶然だとしても、数多くある候補の中で作者さんがそれと決定付ける時の要因には絡んでいそうな気がします。間違っても「ビクトリア」とか「エリザベス」とか「鳳凰院 烈華」とか無さそうな。
 っていうか誰、鳳凰院て(笑)。

 そしてそして。ここからは莅樺の妄想入るのですが。彼女達には、もう1つの哀しい共通点があるように思います。それは・・・・・・揃いも揃って、胸が無い。

 ああっ、スミマセンスミマセンっ。困った汗汗

 いやでも、『正しい蝶の育て方』の蝶は作中ではっきり言われてますし、『Laissez-faire(レッセ・フェール)』のエマちゃんも、以前作者さんにお話を伺った際、「成長しても胸は…」な裏設定?を聞いてしまった気が。『うさぎドロップ』のりんちゃんは手がかり一切ありませんが、雰囲気的には成長しなさそう。鳥

 あとはもう、うちのビー助に期待するしかないのでしょうか(ぇ)。しかしヤツにも、第3話で明らかになったような寿命リミットが。

 とここで、新情報発見! 『正しい蝶の育て方』第2部予定イラストでは、成長した蝶にちゃんと凸凹(笑)が描かれているじゃありませんか!

 先は明るいぞ、皆の衆ー!! 彼女に続くのじゃ!まる


 ・・・・・・とまあ、そんなオジサンな心配は置いておいて。
 次、若造サイド行ってみましょう。これは驚くほど共通点が多かったです。
 

○若造サイド
・年齢は殆どが20代後半。なぜか26・27歳に集中しているとの噂アリ。高くて三十路。
・性別は100%男。独身、一人暮らし。特定のお付き合いをしている女性もいない様子。
・半ば不慮のきっかけで少女を預かることに(でも心構えはできている)。
・鼻高々に誇れるような地位にいない。
 特に職業が少し後ろ暗いものであったり、家族からさえも「三十路にもなって」とののしられるリーマンであったり、凄まじいパシリであったり・・・・・・。
・だけど知的な感じは失わない。
・メガネ似合う率高し。
・金銭的には普通か、中の下くらい。少女を養うに困るほどではないけれど、そう大金持ちでもない。
・見た目の高感度高し。背は170代後半~180前半くらい。バランスの取れた体格。
・服装はかっちりしている。色は黒、次いでグレー・青が多い。
・性格は苦労人の一言。しっかり者である反面、自分や気を許す相手にはどこかズボラな一面も。
・女子どもの扱いは苦手。自覚していることが多い。
・気の置けない友人や知人に、少女との関係を傍観し、ツッコむ役割の人がいる・・・・・・・かな?


 こんな感じですね。妙なところで共通点が多いですね。

 『+みつばちのフキゲン。+』を書いたわたし自身、若造サイドであるフロウの年齢は直感的に「じゃあ27で」と思いました。
 26でなくて、28でなくて、27歳。丁度、初々しい20代前半と、そろそろ身を固めなきゃならない三十路の過渡期にある年代なのでしょうか。

 服の色は・・・・・・知らんわ。ペンギン



□ 人物像の意味するところ

 さらに、若造・少女、2人ともに共通する大切な傾向があります。それは、

 「現実にいそうでいない」こと。

 少女は、浮世離れした美しさと聞き分けの良さを。花
 若造は、浮世離れした甲斐性と身ぎれいさを。冠

 それが悪いって言うんじゃありませんが、実際にの子どもと接してみれば、もっとがさつで、わがままで、狡猾で、訳がわからないこだわりを持っていて、調子が良くて、時に叱り方に唸るようなことをしてみせてくれます。万引きとか仲間外しとか。

 そしてそれが、周りとぶつかる中で揺るぎなき個性になるのでしょう。

 また若造にしてみても、現実の27歳はもっと切羽詰っている事が多いようです。仕事はきつい割に給料はそれほどでもないし、上司は話が通じにくいし、周りからは身を固めろとうるさいし、かといって女は何かと面倒くさいし、そろそろ体力衰えてきたし。

 ところが物語に登場する若造と少女は、揃いもそろってこうした”嫌らしさ”を殆ど見せることはありません。これは一体、どういう意味を持つのでしょう。


 明確に結論づけることは避けますが、1つの見方として2人は誰かの投影なのかもしれませんね。例えば、少女は若造の理想とする心の中のオンナノコ像。若造は、他でもない読み手さんと書き手さんの理想の男性像。

 だからこそ、こうした作品は「ありえない」2人が織り成しながらも、とんでもなく魅力的なのかもしれませんね。ラブ

 とはいえ、物語の登場人物は誰でもそういった現実離れ的な要素を持つもの。こうした設定に始まったばかりではありませんが、なぜこれほどまでに同じ矩形が繰り返されるのか、考えてみるのも面白いかもしれません。



□ ふたりは、こんなにもちぐはぐ。

 こうした設定の物語を紹介する時に、必ずと言ってもよいほど登場するキーワード・
「ちぐはぐ」。で、何がそんなにちぐはぐ?

・性別がちぐはぐ。
 ぶっちゃけ男と女です。やや特殊なのもいますけれど。
 若造は思う。「女子どもの扱いはわからん・・・・・・。」 何をしてやれば喜ぶのか、その年頃の女の子に何が必要なのか。
 少女は思う。「あの人は、何を考えているんだろう?」 何を返せばいいのか、その年頃の男性は何がしたいのか。

 わからいもの同士、とってもちぐはぐ。でも、やっぱり若造は男で、子どもは女の子の方がしっくりくるんですよね。
 27歳独身男性と10歳の男の子、とか、
 27歳独身女性と5歳の女の子、とか、
 27歳独身女性と5歳の男の子、とか。

 どの組み合わせでも、なんか意味合いが変わってきてしまうんですよねー。


・年齢もちぐはぐ。
 大人と子ども。やっぱりちぐはぐ。
 しかも若造の方はもう「いい大人」で、少女の方は「まだ子ども」な年頃が多いようですね。大人と子どもの住み分けがきっちりできているというのでしょうか。

 だからこそ、またわからない。
 自分より10年も20年も生きた、子どもにとっては怪物並みに年上の人が、どんな事を考えられるのか。
 自分より10も20も若い時の自分が、どんなことを考えていたのか。

 これが「18歳男子と12歳の小学生」だったりすると、また意味が変わってきてしまうのでしょう。

 自分より、ずっとずっと遠い時間の住人。
 だからこそ、こうした設定の中での2人は、常に自分を超えて相手を想うことになるのでしょうか。背伸びしたり、かがみこんだり。
 手に触れられそうで、触れられない。でも時々痛いところをついてしまう、つかれてしまう。
 そんな、少しいびつな具合だからこそ、見ていて飽きさせない魅力があるのでしょう。


・歴史がちぐはぐ。
 若造と少女の2人暮し設定の中で、鉄則のように守られている事があります。
 それは、若造と少女が深く関わり始める以前は、全く見ず知らずの関係であったということ。

 例えば 「初めて知った爺さんの隠し子ウサギ」であったり、「親友の、一度も顔を合わせたことのなかった妹チューリップ」であったり。

 もしも少しでも同じ時間軸を共有していて、顔見知りであったなら、これもまた微妙なバランスが崩れてしまいそうですね。このとき、2人の関係を崩すものは先入観、でしょうか。

 誰かを喪う事で2人暮しが始まっている、というのは先に述べたことですが、もしもその人がピンピンしているそばで少女を見ていたら、その時との印象の違いでややこしいことになりそうです。

 互いに直接触れたことの無い、まっさらな間柄だこそ、そこには程よい緊張感が伴うのでしょう。


・性格は・・・・・・似たもの同士?
 そんな2人も、根は似たもの同士?! お互い、ものすごく相手の様子をうかがうタイプに見受けられます。
 もしも少しでもどちらかが自分の事を優先する人間であれば、そして現実に生きるわたしたちの殆どがそうであり、それがある意味健全なのでしょうけれど、そういう人間ならばこれほどまでの物語は組み上がらないと思います。

 性別や年齢のちぐはぐさも、それをたくさん考えてしまえる若造と少女だからこそ、重みと深みを増すのでしょう。


・他にもいろいろちぐはぐはあるでしょうが、つまるところ・・・・・・

結論:
 
もどかしいっ!! 困ったドキドキ小


 でもついつい引き込まれちゃう。「20代の若造と年端のゆかぬ少女」は、永遠の黄金率なのでしょうか。そして心から願わせられる。早く幸せになっておくれー。キラキラ




□ いろいろ思うこと 続きを読む

企画第3夜目:『正しい蝶の育て方』

 今夜はちょっと酩酊してお送りします企画「若造と少女の二人暮し作品をコレクション!」3夜目。

 昨日は望月 翔さんの『Laissez-faire(レッセ・フェール)』を取り上げましたが、今日は、読むほどにため息をつかせる『正しい蝶の育て方』です。


 
*   *   *


[基本データ]
タイトル:    『正しい蝶の育て方』
作者さん:   文・てい さん/絵・桃 さん
掲載サイト:  「re:crazy」 
ジャンル:   ファンタジー(東洋寄り)
その他特記: 第一部完結/小説(イラスト有り)/
         一人称、やや若造視点寄り・少女サイドもしっかり


[あらすじ]

 「もし、俺に何かあったら妹を頼む。」

 ”封”と呼ばれる、透明なガラス玉にあらゆる物を綴じ込む技術。
 もぐり施封技士の若者・時雨の元に届いた親友のビー玉は簡単に砕け、綺麗な瞳の少女・蝶とのふたり暮らしが始まった。
 
 お金はない、仕事は危険、おまけに女子どもはとっても苦手。時が経ち始まりのかなしみが日だまりに変わっても、時雨のちぐはぐっぷりは変わらない。だけど不器用ながらもさり気ないその優しさに、ぬくもりに慣れぬ蝶も次第にうち解け始める。

 「私、邪魔だった?」 決してぬぐえぬ問いを底にひそめながら。
 「嘘でも嬉しかった」 いつしか湧いた、熱い感情を持てあまして。

 たくさんの思い出を越えて、彼女の選んだ結末は。



[見どころ]

 いやあ、蝶ちゃんかわいいねえ。色白いし腕細いし、顔立ち綺麗だし。ん、ちょっとオジサンのとこ来てごらん? ほーらお小遣いあげるよー、たくさん。あんな若造なんかの所にいることないよ。あれ、あれれ? オジサン怖がらせちゃった? お酒臭かったよねーごめんねー。いやあ、蝶ちゃんほんっと、綺麗だからさ。ってあーっ、逃げないでー?!


 のっけから失礼しました。一言で語ります。読んでいて、ついついオジサンになっちゃう作品です。 完。




 ……というのはあんまりなので。鳥


  ほんっとに、ほんっとに、ほんっとに切ない話ですこれ! いつも分をわきまえようとする蝶が本当にいじましくって。悲しい

 ともすれば嫌らしいぶりっこになりそうなのですが、そこは作者さんの腕のなせる技でしょうか。心から、もう本当に、所作の1つにいたるまでが純粋にけなげで、一話読み終わるたびに「ハァーッ!!」とため息をついてしまいます。


 その保護者にあたる時雨は、なんともいい男。キラキラ 古書にはすぐ大枚をはたくし、蝶の扱いは高確率で泣かす(いろんな意味で)結果になるのですが、それだけに4作品の中では一番、人間味あふれる好青年だと思います。

 だから、その結末には「年頃の心優しい2人が過ごすと、こうなっちゃうよなあ……」としんみりしてしまったり。


 作品では蝶と時雨の何気ない暮らし、そしてその裏側に流れる揺れる心情が、簡素な描写で細やかにつづられています。家

 雨降る休日の午後のけだるい感じや、家の中でそれぞれの作業をこなす様子。「する」のではなく、ただそこに「いる」事を書くのはとても難しいはずなのに、この頭の中では夜眠る前、まるで見ていたかのように書かれていない部分までの情景が目に浮かぶのです。ラブ



 茶々を入れる役にあたる、時雨と馴染みの戯女・阿漕がこれまたいい女でして。こういう設定に欠けがちな色気と女性ならではのキッツいツッコミをかまし、物語に深みを与えてくれます。
 蝶にもしっかりお洒落やらなにやらをほどこしてくれるようで、見ているオジサンとしては益々安心。笑顔


 そしてこの物語を語る時に外せないのが、イラストの素晴らしさ。眺めているだけでため息が出るほど美麗なのに、そこに文字が、血の通った文章が!まる  蝶の色素の薄い繊細な美しさや時雨の堂とした体格。眼鏡、大きな手! 興奮せずして何を致しましょう。

 その挿入の仕方も完璧で、巷にありがちな「文の添え物」以上のものを読む者に語りかけてきます。
 だって笑ってるんですよ。一番最後のお話の表紙、蝶、めっちゃ甘えた顔で笑ってるんですよ。時雨が穏やかな微笑みで見下ろしていて。当たり前の幸せがそこにあって……。

 ああ、やっぱりため息もの。落ち込みドキドキ小



 サイトの方では第1部が既に終了し、ひとつの終わりを迎えているようですが、第2部も静かに執筆中であるとか。イラストを見る限り蝶は輪をかけて美しさを増しているようですし、待ち遠しくてたまりません。

 『正しい蝶の育て方』どうぞご一読を。そして共にオジサンとなろうではありませんか!ウインク


 
*   *   *



 さて、3夜にわたって「若造と少女の二人暮し作品」をご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか? 
 なにぶん紹介者の腕が稚拙なだけに、お見苦しい所も多々あったかと思います。1つ1つの魅力も全然、込め切れていないと思いますし。汗

 書いていて驚いたのは、これほどまでに同じ枠を用いながらそれぞれが全く違う方向へと昇華していることです。一体、この設定の何がわたしたちを魅了してやまないのでしょう? そして、こうした設定に見つかる意外な共通点とは。

 次回は、これまでご紹介した4作品を踏まえての考察を行いたいと思います。
 それでは、また。クローバー



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